二項係数の記号
最近LaTeXのことばかり書いてる気がします.
別にLaTeXばっかいじってるってわけでもないんですが…
二項係数の記号(組み合わせの記号,コンビネーション)と言えば
${}_n\mathrm{C}_r$のようなものが日本ではスタンダードですが,世界視点ではそうでもないことが知られています.
国際的には,おそらく,最も一般的な書き方は$\binom{n}{r}$なんだと思います.
僕は今までこの記号をあまり使ったことがなかったので,
いざ書こうとしたときに
\ begin{pmatrix} n \\ r \ end{pmatrix}
とでも書くの,と思ってたのですが,標準で用意されているようです.
\binom{n}{r}
だそうで.二項係数を英語で binomial coefficients と言うらしいので,その頭ですね.
比べてみましょう.左が\bimat, 右がpmatrixです.
\[
\binom{n}{r}=\begin{pmatrix}n \\ r\end{pmatrix}
\]
コンビネーションの頭文字から \comb とかではないんですね.
日本式の記号${}_n\mathrm{C}_r$を\comb{n}{r}で表示できるようなマクロを自作してる人,結構いるんじゃないでしょうか.
というか,僕がそれをしています.\Comb{n}{r}と\Perm{n}{r}と\Homo{n}{r}を作ってます.
\binom は\frac の一般形 \genfrac から作られているらしいので,分数同様,
textstyle と displaystyle とで挙動が異なります.この点もうれしいポイントですね.
textstyle の分数は個人的にあまり好きになれないのですが(窮屈な印象を与えるため),
\binom は不思議と textstyle でも許せるような気がします.
むしろ,二項係数は(確率の計算などを立式しようと思えば)分数の分母に来ることも多く,
分母やはり textstyle の大きさのほうがバランス的にしっくりきます.
とまあ,\binom{}{}を知っている人にとっては今更な記事ですが,
僕にとっては新しい発見だったので,ここにまとめておきます.
行列の形を模した長方形を書くためのLaTeXコマンド
私の数学の恩師の一人は,黒板で授業をするとき,
行列を長方形で表して書く,ということをよくしていました.
$\mathbf{b}=A\mathbf{x}$という線形方程式を書くなら,
行列$A$は長方形で,ベクトル$\mathbf{b},\mathbf{x}$は細長い長方形で,囲んでいました.
行列がらみの数式は,たった1文字に巨大な情報を含んでいることも多々あり,
そこが直観的に相いれない原因となっているのではないかと思います.
特に新しい分野を学習して間もない場合は,その行列が何を意味しているか記号だけでは分からないことも多く,
行列のサイズを書いておくことは理解の助けになるでしょう.
そこで,行列を表す文字を特定のサイズの長方形で囲む,ということがTeXでできないかなあ,と思いました.
自分でマクロも作ってみたのですが,なにぶんレイアウト方面のセンスがアレなだけに,なんだかイマイチ.
特に転置とか入ったときのバランスが悪いのと,行数と列数の位置も,そこでいいの?という感じがします.
あと,行数と列数を書くときにブレースを付けられるとなおいいですね.スペースを食いそうですが.
上のような出力を行うマクロのソースコードはもし需要があれば公開しますが,
私はマクロ初心者なので,現時点でかなり汚いです.
なにか良い package とかあるのかな?
全然関係ない話ですが,画像の「線形連立一次方程式」ってなんだか頭の悪い書き方ですね
いつまで経っても覚えられないLaTeXのコマンド
LaTeXのコマンドは何回か書けばだんだんと覚えていくのですが,
中には,使用頻度が絶妙に少ない(けどたまにある)せいで
いつまでたってもなかなか覚えられないコマンドと言うのが存在します.
いままでいちいち調べていたので,戒めとしてここに残しておきます.
- 総和記号の下の多段添字 --- \substack{1行目 \\ 2行目}
$$
\sum_{\substack{1\le i\le5\\ 1\le j\le3}}ij
$$
$$
\exp(x)\overset{\mathrm{def}}{=}e^x
$$
- 比例を表す記号 --- \propto
$$
S\propto r^2
$$
比例に関しては,比例を意味する英語 proportionality を覚えれば覚えやすいのかな.
微分と多項式のアナロジー
この件に関して,まだ何もまとまってないんですけど.
$$
\begin{align}
&\left\{\begin{aligned}
(fg)'&=f'g+fg'\\
(fg)''&=f''g+2f'g'+fg''
\end{aligned}\right.\\
&\left\{\begin{aligned}
(x+y)&=x+y\\
(x+y)^2&=x^2+2xy+y^2
\end{aligned}\right.
\end{align}
$$
とか.ほかにも,
$$
\begin{align}
&\left\{\begin{aligned}
(f'g-fg')'&=f''g-fg''\\
(fg''-f'g'+f''g)'&=fg'''+f'''g
\end{aligned}\right.\\
&\left\{\begin{aligned}
(x+y)(x-y)&=x^2-y^2\\
(x+y)(x^2-xy+y^2)&=x^3+y^3
\end{aligned}\right.
\end{align}
$$
などがあります.
もちろん二項定理とライプニッツ則のおかげと言えばそれまでなんですが,
何かもっと深いものが根底にある気がしますね.
線形作用素とか,そういう言葉で説明できそうな気がします.
【出題】2つの円錐形容器
そういえば,この前ふと思いついた問題.
中学生向けに作った問題で,中学数学の知識で解けるように作っています.
同じ形をした円錐形の容器が2つあり,それぞれに異なる量の水が入っている.
円錐形の容器は密閉されており,どのような向きにおいても中の水がこぼれることはない.
片方の容器をA,もう片方の容器をBとする.
A,Bを水平な台の上に置いたところ,AとBの頂点から液面までの距離の比が4:3になった.
両者を上下に180度ひっくり返したところ,頂点から液面までの距離の比が2:15になった.
容器の高さを6cmとしたとき,ひっくり返した後の容器Bにおける,頂点から液面までの距離は何cmか.